その勢いはロケットの如く!鋼管ストーブに込めた夢。

金田寿正さん(Liftoff(リフトフ)鋼管ストーブ工房 代表)
その勢いはロケットの如く!鋼管ストーブに込めた夢。

「初めは火で遊ぶのがおもしろかっただけなんだよね!」豪快な笑顔と好奇心に満ちたキラキラした目が印象的な金田寿正さんは、ロケットストーブの開発者。
人を巻き込む求心力とスゴ腕の営業力を兼ね備えた、無類の発明家のストーリーに迫ります。

(プロフィール) 
金田寿正(かなだ としまさ)
大府市若草町出身。1966年生まれ。前職は大手自動車部品メーカー「デンソー」の営業マン。2011年の東日本大震災をきっかけに、重さわずか5.8kgの鋼管ロケットストーブを開発。その新規性、エコリサイクル(間伐材を有効活用したペレットの使用)、防災の点からも注目を集める。

発端は、東日本大震災で感じた“違和感”。

ペレットをはじめ、燃料は小枝や竹、松ぼっくりでもOK。簡単着火でガスコンロ並の強い火力が持続するロケットストーブ。さらに煙もほとんど出ません。
「それがまさに最大の特長。煙も「可燃性ガス」として無駄なく燃やせます」。そう語る金田さんの研究のきかっけは、「デンソー」の東京勤務時代。東日本大震災の時でした。
発生時の混乱から一週間が過ぎる頃には、会社も通常営業。その一方で、被災地の映像は惨状ばかり。「自分は仕事がある。でも、これでいいのかと違和感がありました」。
そんな焦燥感の中で目にした被災地のロケットストーブ。大学では物理学専攻だった金田さんは、空気の流れに着目したその構造に可能性を感じ、大府に戻ると研究に没頭します。

発端は、東日本大震災で感じた“違和感”。

ロケットのようにゴーゴー燃えるから「ロケットストーブ」。クリーンで安全、煮炊きもできて暖かい。「目玉焼きもこの通り!」と実演してくれました。

人との出会いと“いいね!”が、商品化へ。

「まさに最初は火遊びでした(笑)」。
発明にのめり込み、もっと手軽に効率的にと、設計図を引き、業者を探して試作品を作り…。自動車部品の開発から関わった営業マン時代の手腕を発揮して、徐々に現実味を帯びる開発。窯元との出会いで、常滑焼の土管を使った試作品も発表しました。
さらに、行政書士・坂野さんとの出会いが大きな一歩へ。
企画に賛同する出資者を募り、資金調達や商品化を目指す「クラウドファンディング」を取り入れます。「皆さん応援の気持ちが強くて、それが自信にも励みにもなりますね」。
そうして、2万円以内で購入できる鋼管ストーブも開発。ペレット業者との出会いや、メディアへの露出が評判を呼び、商品化への道を進んでいったのです。

人との出会いと“いいね!”が、商品化へ。

イベントでは来場者も興味津々。麦わら帽子姿の金田さんが「デンソー」時代の営業力と知識力で熱弁します。スリムでおしゃれなストーブは、積み重ねも自在な省スペース設計です。

火の楽しさ、付き合い方も伝えたい。

晴れて商品化となり、ネット販売をスタート。「でも、夏は思ったより売れない。皆さんバーベキューには炭なんですね」。その分、火の魅力や扱い方を伝える重要性を再認識した金田さんは、イベントでの実演や動画アップなど、さらなる盛り上がりを仕掛けます。
さらに、スターリングエンジン開発者との「ストーブ発電機」開発や、数々の新機種も試作。新作「鉢りん」は、植木鉢を使った手軽で楽しい商品です。
「どれも防災に役立つものばかり。熊本地震の際も持参しました。火は暖かく、できた料理を食べれば身も心もホッとしますよ」。
湧き出る発想の中に、“人の為に”という想いがあふれる金田さん。ロケットストーブに込めた夢は、今後も大きく打ち上がりそうです。

旅するようにカフェを営む、自然体なふたり。
会うだけで笑顔になる、バレエと元気の伝道師。