“奥が深い”、だから熱処理は“やりがい”がある。

冨田 毅さん(株式会社 共和熱処理 専務取締役)
“奥が深い”、だから熱処理は“やりがい”がある。

「金属熱処理技能士 特級」という国家資格をご存知でしょうか。
機械部品製造の中で重要な役割を担う熱処理。そのハイレベルな専門知識と経営学が求められる
“特級”の称号を胸に、熱処理に向き合う冨田毅さんが熱い想いを語ってくれました。
(プロフィール) 
冨田 毅(とみた たけし)
愛知県岡崎市出身。1973年生まれ。1967年創業以来、エンジン・減速機・足回りなどの自動車部品を中心に金属熱処理を行う株式会社 共和熱処理の専務取締役。金属熱処理 特級技能士。現在は管理を行いながら、社内気質改善にも取り組む。休日にはジムでの筋力トレーニングで汗を流す。

品質を決定付ける、熱処理の重要性。

「熱処理」という言葉を見ると、「何かを熱で処理するという」大まかなイメージは湧くのですが、
実際は…?
「金属熱処理とは、加熱と冷却で金属組織を変化させる事により、硬く強い“強度”と粘り強さである“靭性”という相反する性質を、目的に合う様に調整する処理です。あまり知られていないと思いますが、とても大切な処理です」そう優しく教えてくださる冨田さん。
その重要性は、例えば事故の時に現れます。硬さはもちろん、それだけだと強い衝撃でポキっと折れて大事故になってしまう。けれど、そこにねばり=しなやかさがあれば、折れずに事故を防ぐことができる。大きな力が加わる製品に、熱処理はとても大切。そこで、冨田さんの「特級技能士」の力が存分に発揮されるのです。

品質を決定付ける、熱処理の重要性。

真っ赤に熱せられた熱処理直後の製品は、近寄れない程の熱さ。灼熱の炉が何台も並ぶ工場内は、夏場は暑さとの戦いです。エネルギーを多く使う為、省エネ対策にも積極的に取り組んでいます。

特級技能士、取得への道。

冨田さんは、入社後すぐに同業他社で3年間修行。熱処理という言葉すら知らないところから始まりました。先輩社員に教わった事を時間を見つけては思い出しながらメモし、食事中、出社時、帰宅時の信号待ちの時間を使って繰り返し復習し、自分のものにしてきました。
その後、自社に戻ると品質管理を任され、クレーム対応や社内整備に奮闘しますが、中間管理職特有のストレスや、無理が祟って身体を壊してしまいます。
「まだやれる、もっとやれると思っていましたが、色々なものが蓄積していたんでしょうね。それを機に、いい意味で生真面目さがなくなりました。というよりも、本能的に無理ができなくなりました(笑)」。様々なことを乗り越え、挑んだ特級技能士。
技能士資格の中でも、特級試験は管理、指導に特化しており、その範囲は製造全般から安全衛生、環境保全と広範囲且つ難易度が高いのが特徴です。
「たまたま自分の弱い部分を勉強していて、そこが出たんです」と謙遜される冨田さんですが、日々の努力が実って見事一発合格。自社の為に、さらに自信と腕を磨きます。

特級技能士、取得への道。

白地に「技」という字がキラリと光る左のバッジは特級技能士のもの。右は1級技能士バッジです。特級の試験範囲は広く、工程、作業、品質、原価、設備、安全衛生に環境保全と多岐に渡り、豊富な知識が求められます。

「熱処理のプロ集団」への秘策とは?

処理前後で製品形状が変わらないが故に、外観上では仕上がり具合がわからない熱処理。
「だから機械部品に不具合があると、真っ先に熱処理が疑われるんです」と冨田さんは苦笑い。
その為、処理工程の管理を徹底し、お客様に品質を保証しています。
取組みの一つが従業員のレベル向上。
従業員は段階的にすべての部署を経験し、製造工程を身に付けます。また、毎月業務後に全従業員参加で勉強会を実施。知識の向上を図ると共に、年に1回行われる金属熱処理技能士の資格試験には、毎年2名以上が挑みます。「弊社の従業員は全員が多能工であり、技能士なんです」すべての従業員をプロフェッショナルにと考える冨田さん。
「従業員レベルでお客様との信頼関係を築き、小さな仕事でも断らず、丁寧に対応する。“熱処理の事は共和熱処理に頼めば、なんとかしてくれる”そう思っていただけるお客様を増やすことが目標です」。
“奥が深い”熱処理の世界なだけに、冨田さん情熱の炎はさらに燃え上がります。

大府に、ハンドメイドの風を吹き込んで。
絵本を通じて「ぽっかぽか」な子育てを。