形状記憶合金でしなやかに!夢とアイデアを広げて。

坂 一宏さん、春菜さん(株式会社吉見製作所 代表取締役社長、取締役)
形状記憶合金でしなやかに!夢とアイデアを広げて。

まず感じるのは、驚く程のしなやかさ!そして、形が戻る不思議!スタッフわずか十数名ながら、釣具をはじめとした形状記憶合金製品を意欲的に生み出す吉見製作所。無限の可能性を秘めたこの金属のように、柔軟かつ実直に業界に挑む三代目・坂さんご夫婦に迫ります。

(プロフィール) 
坂 一宏(ばん かずひろ) 、坂 春菜(ばん はるな)
一宏さん(岐阜県大垣市出身。1979年生まれ)、春菜さん(大府市出身、1983年生まれ)。1952年に架線金物製造業として創業した株式会社吉見製作所の三代目。春菜さんのお父様である二代目・吉見幸春会長が始めた形状記憶合金の製品開発を引き継ぎ、さらなる発展を目指す。

世間をあっと言わせた、驚きの釣具!

釣具、腰サポーター、ブレスレットに学習キット。これらすべてに「形状記憶合金」が!吉見製作所ならではのラインナップです。
例えば釣具は、船釣りの必需品「天秤」。“仕掛け-天秤-糸-竿”とつなげることで、海に投げ入れた時に、仕掛けの絡まりを防止する優れもの。仕掛けをしずめる時は形を保ったままスッと、水中では潮の流れに沿って自然に揺れるので魚も違和感なくパクリ。変形させても元の形に戻る性質や、しなやかさを最大限に活かしました。
「通常のステンレス製と違って、使い終わったらクルクル巻いてポケットへ。発売当初からのロングセラーです」物腰柔らかな一宏さんからは確かな自信がみなぎります。

世間をあっと言わせた、驚きの釣具!

釣具「夢の天秤」と「夢の腰サポーター」。腰サポーターは脇に沿って入った形状記憶合金が曲げ伸ばしをサポートします。立ち仕事やデスクワークにもオススメ。耐久性が高いのもこの金属の特長です。

独自の技術が叶える、多彩な製品作り。

形状記憶合金の性質は「あたためると元に戻る」そして「大きく曲げても元に戻る」。
でも、普通モノってあたためると柔らかくなりますよね?「そう!そこが違う!形が変わるのは、原子の並びが変わるからです」大きく曲げる性質も同様。さらに原子はつながったまま並びを変えるので、元に戻ることができるのです。
原料はチタンとニッケル。この割合で「何度で戻るか」が決まりますが、分離しがちな原料の加工技術・燃焼合成法こそ吉見製作所の強みです。「この技術を活かして、線や帯だけでなく大きな鋳物もできますよ」そう微笑む春菜さん。地上と上空の温度変化で自動開閉する飛行機の翼の試作や、学習キットの開発など活用法も多岐に渡ります。

独自の技術が叶える、多彩な製品作り。

“あたためると動く”学習キットの講座は、おおぶふれあいゼミナールでも話題沸騰!春菜さんと女性社員が中心となり、愛知教育大学の北村一浩教授監修で完成に漕ぎ着けました。

下請けからの脱却!その想いを受け継いで。

「釣具開発は釣り好きな会長の友人の一言から。自分もつながりや可能性を感じて引き継ぎました」社の歴史を振り返りつつ、今の想いを語る一宏さん。
電線を扱う下請け業から自社製品へと2代目(現会長)が一念発起。吉見製作所は“形状記憶合金”と“人脈”を軸に邁進してきました。
そのスタイルは業界内でも唯一無二。技術力と軽いフットワークで、医療分野での活用や驚きの商品開発に挑みます。事実、坂夫妻の元へは頻繁に試作の相談が。「元・下請けだからこそ、同様にチャレンジする会社を後押ししたい。“モノからコトへ”の時代に、地元企業とも何かしたいですね」人脈を育みつつ、情熱を燃やす坂夫妻の夢は、しなやかにどこまでも広がっていくのです。

時代に挑戦し続ける、スゴ技クリーニング職人!
いい豆を煎りたてで。本当のおいしさ、伝えたい。